業種
お困りの問題
担当弁護士

相談前

飲料卸売業を営むA社は、販売業を営む個人事業主B氏に対して掛けで飲料を卸していましたが、B氏が逮捕勾留されたことを報道で知りました。結構な重罪で、当分釈放されることはなさそうだと見込まれました。少額の掛代金だったとはいえ、A社としては簡単に貸倒処理するわけにはいかず、顧問弁護士に相談しました。

相談後

弁護士は、A社担当者とともにB氏が勾留されている警察署に赴いて面会し、A社が卸した飲料が収納されている自動販売機の鍵を宅下げしてもらいました。そして、B氏から、A社がその自動販売機から現金や未販売の品物を回収することに同意する書面に署名押印してもらいました。

  • その後、A社担当者がB氏の店舗に赴いて自動販売機の鍵を開け、売掛金を現金または品物で回収することができました。
  • いくらの現金とどの品物を回収したかをB氏に報告し、A社とB氏との間に債権債務がないという内容の精算合意書を取り交わして終了しました。

担当弁護士からのコメント

  • たとえ売掛先が逮捕勾留されたとしても、無断で店舗に入ることなどしてはいけません。売掛先に訴訟を提起して判決を取得して強制執行を行うのが原則ですが、手間や費用に見合う回収ができるかどうかは分かりませんし、何より時間がかかってしまいます。
  • どのような話ができるか見通しが難しい中、初動として、まずは売掛先に接触するという方法をとりました。この件では、売掛先が快く自動販売機からの回収に同意したため、早期に回収することができました。B氏も、普段からA社に世話になっており、A社に迷惑をかけたくないという思いを抱いていたようです。取引においても人間関係が重要だという当然のことを改めて認識する結果になりました。