業種
お困りの問題 , ,
担当弁護士

相談前

一般消費者相手の販売業を個人で営んでいたA氏は、マンションの一室を賃借して店舗として使用していましたが、その建物のオーナーチェンジがあり、新オーナーのB氏はすぐさま賃料増額請求をA氏にしてきました。A氏が拒否すると、B氏は、賃料増額請求の調停を起こしてきました。A氏は、弁護士に相談しました。

相談後

弁護士はA氏の顧問となり、調停手続に対応することとなりました。隣室との間にある壁に穴が開いているとか、排水設備が壊れているなどの事情を指摘し、賃料増額などとんでもないとの主張を調停手続においてしました。また、駐車場も複数区画賃貸借契約をしていましたが、この区画を減少させてはどうかと提案しました。

その結果、賃借している一室の管理をB氏がきちんと行うこと、A氏がB氏から賃借する駐車場の区画数を減少させることで調停が成立しました。店舗の賃料は少々増額しましたが、駐車場使用料が減少したため、A氏がB氏に支払う毎月の賃料は従前より減少しました。

担当弁護士からのコメント

  • 実は、この建物のオーナーチェンジが生じた後、A氏以外のテナントは全て退去していました。B氏が他のテナントに対しても立退請求をしていたからだと考えられます。実際、A氏も、B氏から賃料増額請求を受ける前に立退きの要請を受けていました。しかし、立退料の提案もありませんでした。
  • A氏以外のテナントがどのような条件で立ち退いたのかは不明ですが、調停手続におけるB氏の対応から推量すると、本来賃借人が満足すべき水準での立退条件だったとは考えにくいです。
  • 建物の賃借人は、借地借家法という法律でかなり手厚く保護されています。A氏以外のテナントは、このことを認識していなかったのではないでしょうか。法律は弱者の味方であるというより、法律をきちんと知っている人の味方だということがここでも示されます。
  • B氏がオーナーになってからA氏以外のテナントが退去するまでの時間がそれほどかかっていなかったことから、B氏は、早く全テナントを退去させて新たな建物を建てる希望なのだろうと見込みました。一方、この調停は多くの期日を重ね、長期間を要しました。そのため、B氏も、この建物に対する熱意を失っていったのではないかと考えます。対立当事者の意向を推察したことも、結果として全体の賃料は減少するという内容の解決に至った要因かもしれません。