業種
お困りの問題
担当弁護士

相談前

卸売業・小売業を営むA社は、商圏拡大のため、他社の事業の譲渡を受けたいと考えていました。事業の譲渡を受けるのは初めての経験のため、どのような点に留意し、また、どのような契約書を作成すればよいのかわからなかったために弁護士に相談をしました。

相談後

事業の譲渡を受ける場合、色々な選択肢がある中で、事業譲渡による方法が一番望ましいとの判断になりました。その上で、従業員の問題、相手が負っている債務の問題、商号の利用に関する問題などを検討しました。最終的には、譲渡財産を特定した上で、できるだけリスクを抑える方法での事業譲渡契約書案を作成し、相手方と交渉に臨みました。交渉の結果、事業譲渡契約を締結し、契約に基づいて事業を円満に承継することができました。

担当弁護士からのコメント

  • 他社の事業の譲渡を受ける場合、他社の状況がよく把握できないという問題が発生します。事業譲渡の方法による場合、原則として、譲渡対象として特定された財産・負債のみが譲渡されますので、比較的低リスクで他社の事業の譲渡を受けることが可能となります。
  • 事業譲渡の場合、事業の譲受会社が譲渡会社の商号を続用する場合、譲受会社は原則として譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負うこととなります。商号を続用した場合の責任を避けるためには、免責の登記をする必要がありますので注意が必要です。
  • 事業譲渡では、個別の社員の承諾がない場合には社員は当然に移籍とはなりません。そのため、特に必要な社員がいる等の場合には、事前に社員に打診をして移籍を確実にしておく必要があります。
  • 事業譲渡では、取引先は当然には承継されません。そのため、重要な取引先については事前に打診をした上で、確実に取引関係が継続できるような配慮をすることが必要となります
  • 許認可が必要な業種の場合、事業譲渡により許認可自体を譲渡することはできません。そのため、許認可が必要な業種の場合には、譲受会社が許認可を適法に取得しているかどうかを検討する必要があります。許認可がない場合には、事業譲渡の方法ではなく、会社分割や株式を買い取る方法などによって事業を譲り受けることが可能となります。
  • 事業譲渡以外にも、会社分割の方法により会社の事業を承継する方法もあります。また、会社の株式を買い取る方法もあります。どのような方法が望ましいかは事案によりますので慎重な検討が必要です。