業種
お困りの問題 , ,
担当弁護士 -

相談前

能力が不足して非常に問題ばかり起こす従業員がおり、解雇したいということでご相談にいらっしゃいました。

相談後

社長から事情を詳しく伺うと、相手の従業員にも確かに問題があるようでした。しかし、社長も我慢に我慢を重ねてしまってのご相談であったため、これまで特に問題行動の証拠や指導の記録をとっておらず、相手の従業員の問題性をきちんと証明することが非常に難しい状況でした。 とはいっても、これまでの問題行動や指導については、社長とその従業員の記憶に残っていたため、社長の方で従業員と直接、今後についてしっかり話し合ってもらい、最終的には多少の解決金をその従業員に支払うかたちで無事円満退職してもらうことが出来ました。 この場合では、弁護士は表に出てはおらず、あくまでも社長に対する影からのバックアップに徹しました。

担当弁護士からのコメント

従業員側にまだ弁護士がついていない場合には、弁護士をどのタイミングで代理人として表に立たせるのかを慎重に検討する必要があります。弁護士が入ると、相手も弁護士に相談に行くなどして状況に大きな変化が生じることがありますので、まずは弁護士を表に出さずに解決を試みる方が良い場合も多くあります。本件のように早期かつ円満な解決を狙う場合も、弁護士がすぐ表に出ない方が良い場合があります。

弁護士などの専門家の間ではよく言われているように一般的には能力不足などを理由とする解雇を有効と認めてもらうことは難しい場合が多いです(一定の能力等を前提とした中途採用のケースなどでは、異なる見通しの場合もあります。)。そのため、十分な準備をせずに従業員を解雇してしまい、その従業員から解雇撤回を求められたりすると、会社側は苦戦を強いられることが多いです。

解雇をするまでにきちんと準備をすることが重要です。日頃から従業員に対して適切な指導をし、その記録をとっておくことが重要です。また、業務上の命令違反や成績不良、ミス、第三者からのクレーム等についてきちんと証拠をとっておくことが重要です。最悪の場合に裁判になってしまっても使えるような証拠の残し方については、労働審判や裁判を実際に経験している弁護士に聞くのが一番確実だと思われます。

上記のような証拠がきちんと取れていない場合や、出来る限り余計な退職トラブルを起こしたくないという場合には、会社と従業員とで話し合って円満に退職してもらう道を探るという方法があります。この場合には多少の解決金(※示談金のようなものです。)の支払を検討してでも解決を目指す方が良いこともあります。なぜなら、一度解雇をしてその効力を従業員から争われれば、その裁判のために時間や弁護士費用などのコストがかかりますし、万が一負けた場合には極めて高額の金銭の支払いを命じられるリスクがあるためです。

(文責:弁護士 三井伸容)