業種
お困りの問題 , ,
担当弁護士

相談前

小売業を営むA社では、昔から少数株主の問題に悩まされていました。会社設立からの経緯で一定の株数を持っている元会社の内部の人間が様々な株主としての地位に基づく要求をしてくるためです。株主総会では少数株主が不規則発言をして株主総会が混乱してしまうこともありました。また、手続きの不備を主張してきて株主総会が混乱してしまうこともありました。

相談後

弁護士と顧問契約を締結し、株主総会の事前準備及び当日の議長の補佐を弁護士がすることとなりました。取締役会決議を行った上で取締役会議事録を作成し、その上で招集通知を各株主に法律で定められた期間内に発送します。委任状が出された株主については委任状を確認し、また、当日の議事進行の事前打ち合わせを会社と弁護士で行います。特に、株主から質問が出た場合には、取締役の説明義務に違反しないように説明をする必要があります。会議終了後は株主総会議事録を作成して手続は終了となりました。株主総会当日に予期せぬ不規則発言や質問が出てしまった場合には、弁護士が議長の補佐として議長と相談しながら進めていく方法により、株主総会を適法に行うことができました。

担当弁護士からのコメント

株主間で対立がない場合、株主総会の手続面に大きな問題が出ることはないかと思います。他方、株主間で争いがあると、株主総会の手続面の問題が株主総会決議取消訴訟(会社法第831条)、株主総会決議無効確認訴訟(会社法第830条)という大問題になってしまう可能性があります。そのため、各種書面の事前の準備や当日の適法な株主総会運営は株主間に争いのある会社では重要な事項です。なお、株主総会決議取消訴訟では、違反の事実が重大ではなく、かつ、決議に重大な影響を及ぼさないときは、違反があったとしても請求を棄却することができるとされています(裁量棄却、会社法第831条第2項)

株主総会当日に注意すべき事項は株主から説明を求められたことに対する取締役の説明義務です(会社法第314条)。過去に株主総会決議取消訴訟で争われた事案の中には、取締役の説明義務違反で会社が負けている事案も多くあるからです。株主から説明を求められた場合には法律違反にならないように誠実に回答をする必要があります。

株主の中には、後日株主総会決議取消訴訟を提起する目的、株主総会決議無効確認訴訟を提起する目的で参加している株主がいることも考えられます。そのため、会社法の規定を順守した株主総会の運営を心掛けることが大切です