業種 | その他サービス業 |
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お困りの問題 | 債権回収 |
担当弁護士 | 大澤 一郎 弁護士 |
相談前
千葉県千葉市にあるマンションの管理組合では従前から管理組合の組合員に対する滞納が問題となっていました。少額の滞納の場合には管理組合が請求をする方法により解決をしていましたが、多額の滞納が発生し、管理組合が請求しても支払わないという事案が発生してしまっていました。そのため、管理会社が弁護士を紹介し、管理組合が弁護士に相談をしました。
相談後
管理費については通常5年以上放置しておくと過去の分が消滅時効にかかって請求ができなくなってしまいます。そのため、裁判を提起することにしました。裁判で判決が出ても支払いがないために競売を申立し、結局、競売代金から滞納管理費を回収し、さらに、競売で落札をした新所有者が滞納管理費を全て支払う方法により滞納管理費全額を回収しました。
担当弁護士からのコメント
滞納管理費については債務者である区分所有者の特定承継人にも請求することができます(建物の区分所有等に関する法律第8条、第7条)。そのため、管理費を滞納しているマンション所有者からマンションを購入した買主にも滞納管理費を請求することができます。また、管理費を滞納しているマンションが競売となり新所有者が落札をした場合、新所有者にも滞納管理費を請求することができます。
滞納管理費については一般的に支払日から5年で時効となってしまうと考えられています(最高裁判所平成14年(受)第248号平成16年4月23日判決)。そして、裁判を提起すれば消滅時効の進行は止まります。そのため、5年分以上管理費を滞納している状態とならないように管理組合は裁判の提起などの処置を行う必要があります。(なお、債務の弁済を受けたり、債務を承認する旨の書面を作成させた場合も時効は中断しますが、一番確実な方法は5年以内の訴訟提起です)
競売をして新所有者が決まれば、新所有者に対して滞納管理費を請求できるので滞納管理費の問題が解決できる可能性は高いです。他方、抵当権が設定されている物件の場合、抵当権の被担保債権額が不動産の時価を超えている場合には競売申立をしても競売申立が却下となってしまう場合があります。抵当権の被担保債権額を事前に調査するのは難しいことも多いので、「裁判→勝訴判決→競売申立」という流れになった場合に100%滞納管理費を回収できるとは限りませんので注意が必要です。