業種
お困りの問題
担当弁護士

相談前

小売業を営むA社では、順調に経営を進めていましたが、社長が急に入院をしてしまいました。当初は比較的早期に退院ができる予定でしたが、結果としてお亡くなりになってしまいました。そのため、相続人である家族は、今後事業を継続するにあたってどのようにすればよいか悩んでいました。

相談後

当事務所で検討した結果、家族のうちの1人が株式を多く相続し、代表取締役になるという方向性で話を進めました。従業員に株式を譲渡し代表取締役となってもらう案、代表取締役に外部の専門家を依頼する案などもありましたが、親族が代表取締役になるという結論になりました。急死でしたのでできることに限りはありましたが、株主間の調整を行い、引き続き会社を経営していくことができました。その後の株主総会、取引先へのあいさつなども円滑に行い、業務を継続することができました。

担当弁護士からのコメント

オーナー企業の場合、代表取締役が大多数の株式を所有していることが多いため、社長がお亡くなりになってしまうと、株式をどのようにするかについて問題が発生してしまいます。株式の評価は成功している会社ほど高くなり、現実に現金にすぐできるわけではないにもかかわらず多額の相続税が発生してしまうこともあります。最悪の場合、相続税の支払いが困難となってしまい、事業の継続自体が困難となってしまうこともあります。

会社を承継させる場合には、親族への会社の承継、従業員への会社の承継、第三者への会社の承継などどのように会社を承継していくかということを早めに検討しておく必要があります。経営・税務・法務の面を総合的に考慮した上での検討が必要です。

遺言書がない状態でお亡くなりになった場合、相続人間で紛争が一度発生してしまうと、株式の帰趨が決まらず、会社経営が困難となってしまう事案もあります。少なくとも、会社経営が円滑に進むように、会社を承継させる人が過半数の株式を所有するような仕組みを作っておくことをお勧めします。

相続により株主の数が増えてくると、株主間紛争が発生する確率が高まってきます。株主間紛争は一度発生してしまうと、解決までに数年~10年以上の時間がかかってしまうこともあります。株主間紛争の発生を防止するためにも、事業承継の際には時間をかけて準備をしておくことをお勧めします。