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担当弁護士

相談前

卸売業を営むA社にある日突然外部の労働組合からの書類が届きました。従業員が労働組合に入ったので団体交渉をしたいという申し入れでした。A社では、今まで団体交渉の申入れをされたことなどは一度もなかったので、どのように対処すればよいかわからず顧問弁護士に相談しました。

相談後

団体交渉申し入れがあった場合、団体交渉には特別の事情がない限りは応じなければいけません。そのため、弁護士と労働組合で日程を調整し団体交渉に臨みました。弁護士、A社の社長、労働組合の担当者、A社の従業員の4人での団体交渉でした。労働組合からは労働環境の改善やその他様々な要求がなされました。しかし、法律上A社が義務として応じなければならない事項は1つもありませんでした。A社は残業代も満額支払っていましたし、労働関係法規を遵守していたからです。そのため、団体交渉は1度だけで終了しました。また、外部の労働組合に加入した社員もしばらくしてから退社しました。

担当弁護士からのコメント

団体交渉申し入れが外部の労働組合からあった場合、かならず弁護士に一度相談することをお勧めします。労働組合はある意味労働関係の法律の「専門家」です。そのため、知識不足で臨んでしまうと会社にとって極めて不利益な合意をさせられてしまうことがあります。

団体交渉に応じることは特段の事情がない限りは会社の義務です。他方、団体交渉で出た労働組合からの要求に応じることは会社の義務ではありません。会社としては団体交渉に関して誠実に交渉する義務があるにとどまります。

外部の労働組合の場合、役所への申告、取引先への申告、ビラ配り等の街宣活動などの様々な活動をしてくることもあります。事前に会社の強い点、弱い点をしっかり把握した上で団体交渉に臨むことが重要です。

最近では、社員にとって働きやすい職場であることが会社の業績を伸ばすために重要となってきています。そのため、労働関係法規は遵守して会社を経営することが望ましい経営スタイルと言えるでしょう。(ただし、見解の相違は多々ありますので100%形式的かつ正確に労働関係法規を遵守することまではコストなどとの兼ね合いでできないかもしれません。)

外部の労働組合との団体交渉は、方向性を間違えると会社をつぶしかねない大変な事態を招いてしまいますので慎重・繊細な対応が必要不可欠です。