業種 | 運送業 |
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お困りの問題 | 債権回収 |
担当弁護士 | 大澤 一郎 弁護士 |
相談前
運送業を営むA社は、未払いの100万円以上の運送代金が発生していました。運送代金を請求しているものの、相手が損害賠償請求権との相殺を主張し、全く金銭の支払いをしないためです。そのため、請求日から1年弱が経過した段階で弁護士に相談をしました。
相談後
弁護士からは時効になる前にすぐに内容証明郵便での請求書を送付するか、裁判を提起する必要があるというアドバイスを受けました。運送代金債権については運賃支払日から1年を経過してしまうと短期消滅時効の制度により請求ができなくなってしまう可能性があるからです。そのため、A社は即座に内容証明郵便により請求書を送付しました。また最終的には裁判となりましたが、ほぼ全額に近い債権を回収することに成功しました。
担当弁護士からのコメント
- 一般的には会社間で発生する債権の消滅時効は5年となります。しかし、運送代金債権については法律で消滅時効期間が1年と特別に定められています。そのため、本来の請求日から1年以上経過してしまうと、消滅時効により権利を請求することができなくなってしまう可能性があります。
- 時効を止めるためには以下のような方法があります。
- 請求書の送付
請求書が届いた日から6か月間だけ時効にならない期間を増やすことができます。ただし、本来の時効期間(例えば運送代金債権であれば1年)過後に届いた通知では効果はありませ - 裁判
裁判を起こせば時効は中断します。時効の心配なく権利関係について主張をすることができます。 - 承認
相手が代金の一部を支払ったり、支払義務があることを認めた書面を作成した段階で承認となり時効が中断します。ただし、「承認」があるかどうかについてそもそも争いとなることも多いので注意が必要です。
- 請求書の送付
- 5年よりも短い期間で時効となってしまう要注意の権利としては売買代金(2年)、請負代金(3年)、病院・医院の患者への請求権(3年)などがあります。
- 消滅時効になってしまうと、本来は請求できた権利が一切請求できなくなってしまうという不利益を受けることとなります。特に、権利関係に争いがあったり、相手の財産に問題があったような権利については長期間放置となり、時効となる確率が高くなっていってしまいます。そのため、時効の管理は厳密に行い、確実に入金を受けるようにしましょう。