業種
お困りの問題 ,
担当弁護士

相談前

卸売業・小売業を営むA社は、少数株主からの様々な要求・請求に以前から悩まされていました。会社の規模からして、比較的大きな売買契約を締結したところ、その契約に関して法令違反の行為であるとして、少数株主が裁判を起こしてきました。裁判は正式な裁判と仮処分の2つでした。

相談後

違法行為の差し止め請求に対して、正式な裁判及び仮処分のいずれについても、法令違反の行為が存在しないことを真正面から主張・立証しました。結果として、仮処分は却下、正式な裁判は棄却となりました。会社側が完全に勝訴しました。ただし、少数株主は、地方裁判所・高等裁判所・最高裁判所と争ったため、最終的な解決までには3年の時間がかかりました。

担当弁護士からのコメント

  • 取締役が会社の目的の範囲外の行為、その他法令又は定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、これにより会社に「著しい損害」が生ずるおそれのある場合には、株主はその行為の差止を請求できます。「著しい損害」という要件がありますので、請求が認められるハードルは高いといえます。
  • 監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社の場合には「著しい損害」という要件がさらに加重され、「回復することができない損害」が生ずるおそれがあるときという要件が必要になります。
  • 違法行為の差し止め請求権を行使できるのは、6ヵ月前から引き続き株式を有する株主です。株数についての制限はありませんので、1単位の株式でも有する株主であれば、権利を行使することが可能とされています。
  • 違法行為がなされてしまうことを防ぐために、違法行為の差し止めを求める仮処分を提起することができます。仮処分の場合、裁判のように数年も時間がかかるというようなことはありません。
  • 少数株主からの請求は、会社としての対応を間違えてしまうと、会社の存続にかかわるトラブルに発展してしまうこともあります。弁護士に相談をしながら、慎重に対応をしていく必要があります。
  • 取締役の職務全体を停止する方法として、取締役の職務執行停止・代行者選任の仮処分という方法もあります。また、取締役解任の訴え、取締役に対する損害賠償請求、刑事告訴などの方法もあります。