業種 | 卸売業・小売業 |
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お困りの問題 | 問題従業員対応・労務管理, 労働組合対応, 労働紛争・労使紛争, 人事・労務, 顧問 |
担当弁護士 | 三井 伸容 弁護士 |
最終更新日:2024年5月31日
ご相談に至る経緯
小売業を営むA社では、社内の人事異動として配置転換を行おうとしました。
ところが従業員が労働組合に加入し、配置転換は無効であると主張してきました。
会社としては正当な理由がある配置転換のつもりでしたが、A社は今まで労働組合に従業員が加入したことがなかったため、知人の紹介でよつば総合法律事務所に相談をしました。
解決までの流れ
A社はこれまでの経緯を説明し、対象の従業員に関する雇用契約書、就業規則、勤怠記録や給与明細、対応履歴など関連する資料一式を共有しました。
弁護士は資料を基に法的な見通しを分析しました。
配置転換は有効の可能性が高い
日本の法律上は会社が配置転換をする権利が比較的広く認められているため、弁護士の見立てとしても配置転換が有効となる可能性が高いと考えました。
なお、従業員側は配置転換以外にもハラスメントなど色々な主張をしていましたが、それらは会社にも心当たりがないような状況でした。
弁護士からA社に対して法的な見通しと今後の団体交渉の流れ、最終的な解決の方向性などをご説明しました。A社はよつば総合法律事務所に依頼することとしました。
団体交渉の方針の決定
弁護士とA社間で協議をし、第1回の団体交渉の方針としては、まずは相手の要望とその背景にある事実関係の認識を確認することにしました。
配置転換については会社として有効と考えていたことから、その説明も当日十分にできるように準備しました。
事前に弁護士側で会社の主張や要望等を整理した文書案を作成し、団体交渉前に労働組合に送付しました。
加えて、団体交渉には会社担当者が参加する予定であったため、当日の労働組合とのやり取りに備えた想定問答も作成しました。
団体交渉当日に弁護士が立会い
団体交渉当日、弁護士も同席して労働組合と話をしました。
第1回としては両者の顔合わせと労働組合側の主張内容の確認が中心でした。
退職を前提とする合意による解決
団体交渉後、労働組合から退職を前提とする解決ができないか打診がありました。
A社としても合意での退職が望ましいと考えていたことから、弁護士と労働組合間で条件を調整し、無事合意による解決となりました。
結果・成果
A社は、弁護士を団体交渉の代理人とすることで、客観的な法律上の見通しを踏まえて不利にならない条件で解決することができました。
A社は初めての団体交渉で不安でしたが、弁護士が代理人として窓口になったことで安心して労働組合とやり取りすることができました。
担当弁護士のコメント
団体交渉に臨むうえで当日の方針決定は必要です。当日の方針が曖昧だと、当日の流れに飲まれやすい傾向があると感じます。
まだ初回であれば、あまり欲張り過ぎずに労働組合の主張内容の確認を中心にする方法もあります。
団体交渉の申し入れから間もない初回であれば、当日のやり取りの中心が組合側の主張の確認であっても労働組合から問題視されにくい印象です。
ただし、度重なる交渉継続中に同様の態度に終始すると不誠実団交等の指摘を受けるリスクもあります。
まずは相手の主張を把握することが重要
つい団体交渉の場では会社の正当性をまず訴えたくなります。しかし、まず双方の主張の全容やその背景となる事実の認識、根拠の有無などを把握することが先決です。
お互いの主張や認識が曖昧なままで積極的に発言することはリスクです。
不用意にした発言がその後の交渉での前提となってしまうこともあります。「そんなことは言っていない」と言ったとしても団体交渉では録音をしていることも多いです。
実際問題としても、労使双方が交渉をしていくうえで、双方の認識やそのずれの有無、内容などを確認しないと実効的な議論をしにくいです。
退職前提の話し合いができるのが望ましい
今回は幸いにも労働組合から退職前提での解決の打診がありました。退職前提での提案が出るような交渉の土壌づくりも重要です。
労働組合も立場上硬直的な態度を取ることもあります。もっとも、会社もむやみに感情的にならずにやり取りをすることが必要です。
会社にとって適切な落としどころが見つかることもあります。
とはいえ、初めての団体交渉で冷静な対応を取ることは難しいと思います。不安があれば弁護士への依頼をおすすめします。
よつば総合法律事務所では、多数の団体交渉の対応実績がございます。お気軽にご相談ください。
注:事案の本質を損なわない範囲で一部事案内容を変更している場合があります。