業種
お困りの問題 ,
担当弁護士

相談前

卸売業・小売業を営むA社は、先代の社長がお亡くなりになった際に株式を相続人複数で分割して相続しました。そのため、多数株主側と少数株主側に分かれて、会社経営をめぐりトラブルとなっていました。そして、多数株主側で選任した代表取締役について、職務執行に関して違法行為があったとして、少数株主側が株主総会にて解任決議をするよう求めてきました。多数株主側が解任決議を否決したところ、少数株主側が取締役解任の訴えを提起してきました。裁判所から書類が届いたため、弁護士に相談をしました。

相談後

取締役解任の訴えに対して、真正面から反論をする方針で戦いました。代表取締役について不正の行為、法令違反の行為、定款違反の行為はないとして全面的に争いました。結果として、3年の時間がかかりましたが、地方裁判所・高等裁判所・最高裁判所全てにおいて会社側の主張が認められました。

担当弁護士からのコメント

  • 取締役解任の訴えが認められるためには以下の3つの要件が必要とされています。
    1. 取締役が職務執行に関して不正行為や法令・定款に違反する重大な事実があったこと
    2. 株主総会で取締役解任決議が否決されたこと
    3. 原告が総株主の議決権の100分の3以上の議決権又は発行済み株式の100分の3以上の数の株式を保有していること
  • 取締役解任の訴えが仮に認められて取締役が解任されたとしても、再度、株主総会にて同じ取締役を選任することは法律上可能です。そのため、最終的には株式を過半数以上所有しているかどうかという点が重要なポイントになります。もっとも、解任の訴えが認められた場合には解任の登記がなされますので、そのような経緯の中で、株主が真実を把握し、別の取締役を選任する可能性もあるかもしれません。
  • 取締役解任の訴えの判決が出るまでにはかなりの時間がかかることから、緊急で問題を解決したい場合には取締役の職務執行停止・代行者選任の仮処分を申立する方法があります。
  • 個別の取締役の違法行為を差し止めしたい場合には、違法行為の差し止めを求める訴訟や仮処分を起こす方法もあります。
  • 株主間紛争の場合、紛争が先鋭化し、地方裁判所での判決が出たとしても、高等裁判所・最高裁判所と争われる事案が経験上多いです。紛争全体を見据えて作戦を立てることが重要です。