業種 | 不動産業 |
---|---|
お困りの問題 | 事業承継・相続 |
担当弁護士 | 大澤 一郎 弁護士 |
最終更新日:2024年5月31日
ご相談に至る経緯
多数の不動産を所有し、また、不動産管理会社の社長も務める不動産オーナーのA様はご長男と同居していました。
代々不動産はご長男に継がせる家系でしたが、A様が予期せぬご病気で入院となってしまいます。
A様の体調は悪化し「(お父様は)お亡くなりになってもおかしくない」と医師からは言われてしまう状況でした。
このままでは父親であるA様の意思を実現できなくなるかもしれません。困ったご長男は、よつば総合法律事務所に相談をしました。
解決までの流れ
ご長男は、A様の現状や所有する不動産を弁護士に詳しく説明します。A様の体調が思わしくなかったため、弁護士は急いで公正証書遺言の作成の手配に入りました。
弁護士は公証役場に連絡して、公正証書遺言の作成を依頼します。そして、A様が入院している病院に公証人が出張可能な一番早い日の予約を取りました。
公正証書の作成には必要書類を事前にそろえる必要があります。A様やご家族自身で集めることもできますが、時間がかかってしまいます。
そのため、慣れている弁護士が代わりに戸籍謄本、不動産に関する資料などの必要書類も急いで取り寄せしました。
並行して、A様の意思を実現するための公正証書遺言の案文を弁護士は急いで作成します。
公正証書遺言の案文を公証役場に提出し、弁護士と公証人で公正証書遺言の内容の事前調整も行いました。
結果・成果
弁護士が迅速に対応したこともあり、A様はご相談後10日以内に公正証書遺言を無事作成できました。
幸いにもA様の体調は回復しましたのでその点もよかったです。
担当弁護士からのコメント
公証役場に行かなくても公正証書遺言は作成可能
公正証書遺言は公証役場に行って作成することが原則です。しかし、今回のように公証役場にご本人が行けないこともあります。
そのようなときは、公証人が出張して公正証書を作成することも可能です。
今回はご本人の体調が思わしくなかったため、急いで遺言書を作成する必要がありました。そのため、公正証書遺言を急いで作成できました。
ただし、公証人に出張してもらうには、日程調整がすぐできるかどうかという点、費用が通常の1.5倍程度かかるという点が問題とはなりますので要注意です。
自筆証書遺言を先に作成することも効果的
ご本人の体調に不安があるときは、まず自筆証書遺言を作成しておき、その後、公正証書遺言を作成するという方法があります。
この方法であれば、自筆証書遺言を作成した後、公正証書遺言を作成する前にお亡くなりになっても、自筆証書遺言は有効です。
ただし、自筆証書遺言は形式の不備などの事情で問題が発生することがあります。
そのため、よつば総合法律事務所では、原則として公正証書遺言による遺言書の作成をおすすめしています。
遺言書の作成は弁護士に相談
よつば総合法律事務所では相続の案件も比較的多く取り扱っています。相続の問題でトラブルが発生しそうなときなどは、まずは弁護士への相談をおすすめします。
関連情報
本解決事例へのよくある質問と回答
Q. 公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)とは何ですか?
A. 公証役場(こうしょうやくば)で作成する遺言書です。
Q. 公正証書遺言について詳しく教えて下さい。
A. 公正証書遺言のメリット、事前に準備する資料、手続の流れ、手数料などの詳細は日本公証人連合会のWEBサイトをご確認下さい。
Q. 自筆証書遺言とは何ですか?
A. 手書きの遺言書です。
Q. 自筆証書遺言を作っておけば十分ではないですか?
A. 自筆証書遺言には、その作成方法や内容、ご本人の死亡後の手続など、様々なルールがあります。そのため、せっかく遺言書を作成しても、手続違反により無効となってしまうことがあります。
また、自筆証書遺言を紛失してしまうと、遺言書の内容を実現できなくなります。そのため、自筆証書遺言はあくまで暫定的な遺言という理解がよいでしょう。
なお、自筆証書遺言は法務局で保管してもらえる場合があります。詳しくは法務省のWEBサイトをご覧ください。
Q. 自筆証書遺言が手続違反で無効となったとしても、何とか有効にする方法はありませんか?
A. 自筆証書遺言が手続違反で無効となっても、贈与契約として有効になることがあります。
具体的には「自分が死んだ場合には財産を特定の人にあげる」という契約として有効となることがあります。「死因贈与契約(しいんぞうよけいやく)」と言います。
死因贈与契約として有効にするためには、財産を渡す人に自筆証書遺言を渡しておくことなどが必要となることが多いです。
Q. 緊急で遺言書を作成しましたが、後日内容を変更することはできますか?
A. できます。前の内容と異なる新しい遺言書を作成したときは、前の遺言書は効力を失います。
そのため、新たに遺言書を作成すれば、新しい遺言書の内容が有効となります。
注:事案の本質を損なわない範囲で一部事案内容を変更している場合があります。