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担当弁護士

最終更新日:2024年5月31日

ご相談いただく前

運送業を営むA社は、長年A社で勤めていたB氏の勤務態度が非常に悪かったことから、B氏の態度の改善を求めるために話し合いを行い、その結果改善の余地が無いと考え、B氏を解雇しました。

そうしたところ、B氏は不当解雇であると主張して不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起してきたため、当事務所に訴訟対応等をご相談いただきました。

ご相談いただいた後

訴訟提起後、当方からB氏の当時の勤務態度が非常に悪かったこと、会社から何度も改善を求めたが全くそれに応じようとしなかったこと等の事実を詳細に主張し、解雇が有効である旨の主張を行ったところ、会社に非常に有利な内容で和解することができました。

担当弁護士のコメント

労働契約法上、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、会社の行った解雇は権利を濫用したものであり無効であると規定されています。

一般的に、客観的に合理的な理由が認められるためには、労働者の能力不足、職場規律への違反、あるいは経営上の必要性等解雇を正当化できるだけの理由が必要になります。

従業員

しかし、裁判所は原則として客観的に合理的な理由が認められるかどうかについては非常に厳格に判断を行う運用をとっているといえます。

例えば労働者の能力不足を理由に行う解雇については、単に従業員の成績が不良というだけでなく、それが企業経営に支障が生じている等の事情が必要になってきたりします。

また、解雇を行うまでのプロセスとしても、すぐに解雇するのではなく、会社から本人に対して教育指導を行う等の解雇回避措置を求められたりもします。

このような原則論からすると、今回の事案は、会社から当該従業員に対する解雇回避措置等をとっておらず、解雇権の濫用と判断される可能性がかなり高い案件だったと考えられます。

会社の行った解雇が解雇権の濫用を理由として無効であると判断された場合、従業員が会社に来なくなった後も賃金の支払義務が発生し続けるため、紛争が解決したときに高額な未払賃金の支払義務が会社に課せられる可能性があります。

このように、従業員を解雇する事は非常に大きなリスクが内包されていますので、事前に弁護士にご相談いただき、慎重に手続きをすすめることを強くおすすめします。

監修者:弁護士 加藤貴紀

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