業種
お困りの問題
担当弁護士

事案の経緯

ご相談者様は製造業を営まれる会社の方でした。現在製造を行っている分野以外にも手を広げていくことを目的として他の製造業を営む会社のM&Aを検討されていました。

ご相談者様がM&Aを行うかどうかを検討するために、法律面のデューデリジェンス(以下、「DD」)の実施を弊所にご相談されました。

DDの実施

今回ご依頼いただいたDDの対象会社は、比較的歴史の古い会社でした。創業者から何回も世代交代をしており、株式譲渡もこれまでに何度も行われてきました。

M&Aの手法として、株式譲渡契約を最終的に行う場合には、現在株式を有している株主が適法な株主であることを確認することが重要になってきます。

そこで、DDにおいては、過去の株式譲渡契約書をすべて確認する必要があります。

歴史のある会社になると株式譲渡契約書がすべて保管されているということは稀なため、代替的な資料として、原始定款や取締役会議事録の他に確定申告書類等を確認して株主の変遷を確認することになります。

今回は上記の資料を確認した上で対象会社担当者にヒアリングを行ったところ、過去に対象会社が株券発行会社であったにもかかわらず、株券の交付を行っていない可能性が出てきました。

株券発行会社においては、株式譲渡契約書を作成するだけでは有効に株式を譲渡したことにならず、実際に株券を交付することが株式譲渡の有効要件となります。

そのため、今回は現在の株主とされている人が実際には有効に株式を取得していない可能性があり、M&Aのために株式譲渡契約を行ったとしても実際には株式を譲り受けられない可能性があったことから、M&Aの実施を断念しました。

弁護士からのアドバイス

平成16年商法改正以前においては、すべての会社が株券発行会社であり、現在の会社法と同様に株式譲渡には株券の交付が必要とされていました。

しかし、株券の譲渡の際に株券を交付する必要があるという認識はあまり知られていなかったことから、本件のような瑕疵があることが多々あります。

実際に過去に株主だった人あるいはその相続人等が株主であることを主張してくる可能性は現実問題としては低いと考えられますが、問題が現実化した場合のリスクがとても大きいことから、今回のような過去の株式譲渡の問題は重大なものと言えます。

株券の交付が行われていなかった場合、①株券の交付のやり直し、②特別補償条項の設定、③株式譲渡契約以外の方法の検討等の方法が考えられます。実際にどの様な方法を行うべきかは事案によりますので、ご検討の際は専門家にご相談されることをおすすめいたします。

以上