業種 | 卸売業・小売業 |
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お困りの問題 | 株主間紛争, 紛争 |
担当弁護士 | 大澤 一郎 弁護士 |
相談前
卸売業・小売業を営むA社は、少数株主から様々な請求をされていました。過去において相続が発生し、複数の親族が少数の株式を有していたからです。そして、親族間の仲もよくありませんでした。そのような中で、取締役の行為に違法な行為があり、解任をするのが相当であるとして、株主が株主総会の招集の請求をしてきました。会社としては何ら違法な行為はしていないという判断でしたので、株主総会にて解任決議を否決しました。その後、少数株主が裁判所に取締役の職務執行停止・代行者選任の仮処分の申し立てをしてきたため弁護士に相談をしました。
相談後
弁護士が代理して会社側で違法行為が存在しないことを主張したところ、解任が相当であることを認める証拠がないということで取締役の職務執行停止・代行者選任の仮処分は却下となりました。実際のところ、株主からの請求は誹謗中傷に近い内容であり、全く根拠のない請求でした。また、取締役解任の訴えも併せて提起されていましたが、取締役解任の訴えも棄却という結論になりました。
担当弁護士からのコメント
- 取締役の職務執行停止・代行者選任の仮処分は、取締役の職務の執行を停止して、中立な第三者が代行者として取締役としての職務に当たることを求める裁判手続きです。
- 取締役の職務執行停止・代行者選任の仮処分は仮の処分です。元々の本体となる権利関係については、取締役解任の訴え、株主総会決議取消の訴え、株主総会決議の無効確認の訴え、株主総会決議の不存在確認の訴えなどがあります。
- 取締役の職務執行停止・代行者選任の仮処分を裁判所が認めるためには「保全の必要性」が必要です。この場合の保全の必要性とは、会社に存在する著しい損害を避けるために必要があることなどが必要です。
- 取締役の職務執行停止・代行者選任の仮処分は取締役の職務を全体として停止することを求める申立ですので、認められるハードルはかなり高いです。株主間紛争の場合、様々な申立が連続してなされることがありますので、申立がされた場合には弁護士に相談しながら方向性を検討していくことが大切です。
- 株主間紛争では、最終的には少数株主の株式を適正な価格にて買い取ることにより、円満な会社経営を実現することが可能となります。