業種 | 製造業 |
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お困りの問題 | 人事・労務, 廃業・倒産, 顧問 |
担当弁護士 | 村岡 つばさ 弁護士 |
相談前
千葉県で製造業を営むA社は、今後の経営について悩みを抱えていました。
過去に労務トラブルがあり、その時から当事務所に顧問契約をご依頼いただいておりましたが、苦しい経営状況もあり、会社を畳むことを検討している旨、ご相談いただきました。
相談後
ご相談をいただいた時点で、月々の会社の収支のバランスが取れておらず、事業を続ければ続けるほど、損失が大きくなるのが明らかな状況でした。
経営者と一緒に、コストカット、事業承継等の方法も検討しましたが、最終的には、非常に残念ではありますが、会社の資産があるうちに会社を畳み、清算することとなりました。
会社を閉めるXデーを決めた上で、取引先(銀行)への説明に同席しました。また、従業員説明会を開催して、従業員に経緯の説明をし、退職手続を行いました。
早期に清算を決断した結果、最終的には、会社の資産で全て債務を清算することができ、経営者が担保に供していた不動産についても、処分しないで、経営者の手元に残すことができました。また、銀行、従業員、取引先に混乱が生じることなく、スムーズに会社を畳むことができました。
担当弁護士からのコメント
会社の業績が優れない場合、選択し得る方法としては、
- ①コストカットを行い経営を立て直す
- ②事業承継を行う
- ③破産申立てを行う
- ④本件のように会社を畳み、清算を行う
といった手段が考えられます(民事再生の手続はあえて除外します)。
どの手段を選択すべきかは、会社の具体的な状況により異なります。例えば、コストカットをしても到底赤字を解消できない場合には、①を選択することはできません。
また、②については、通常は、買い手の選定、基本合意書の締結、デューデリジェンス、本契約の締結等、手続に時間がかかるため、時間的余裕がないと選択し辛い手続です。
③と④の違いは、会社の資産で負債を支払いきれるか、という点になります(支払いきれない場合には、破産を選択することとなります)。
今回のように、会社を円満に清算する場合には、関係者との調整が必須となります。具体的には、メインバンク、従業員、取引先につき、適切な説明・対応を行う必要があります。
特に従業員においては、いかなる事情があるにせよ、職を失うという重大な事態ですので、誠意をもって説明を行い、会社を閉めるタイミング、有給休暇の消化、金銭的保障等につき、配慮を行う必要が出てきます(破産を選択する場合には、別の観点からの検討が必要となります)。