業種
お困りの問題 ,
担当弁護士

最終更新日:2019年9月18日

相談前

小売業を営むA社から「最近、会社のオフィスを移転しました。

すでに移転は済んでいるのですが、以前賃借していた不動産のオーナーが預けていた敷金を返還してくれません。敷金を返還してもらえませんでしょうか。」というご相談をお受けしました。

相談後

まずは、弁護士が代理して、賃貸人側と交渉をしました。賃貸人側は、「原状回復費用がかかっている。敷金は原状回復費用のために使い切ったので返還できない。」という旨の主張をしていました。

交渉段階ではお互いの主張が平行線でしたので、敷金返還請求の裁判をすることにしました。

裁判をした結果、1年程かかりましたが、無事に敷金約200万円を回収することができました。

担当弁護士からのコメント

法人の事務所や店舗の賃貸借契約の場合、物件の場所や専有面積によっては、敷金や保証金の金額が数百万円と高額な設定になっている場合があります。

敷金、保証金の金額が高額な場合には、しっかりと賃貸借契約書の内容を確認したうえで、返還される金額を検討する必要があります。

本件では、賃貸人側から原状回復の工事費用を請求されていましたので、敷金返還請求をするにあたって、賃借人が負う原状回復義務の範囲が問題になりました。

賃借人の原状回復義務の範囲は争いになりやすいところです。そのため、賃貸借契約を締結する際には、明渡し時にどこまで原状回復する必要があるのかを、当事者間でよく確認しておくのが大切です。

一般的に、契約上で明確な合意がない場合には、経年変化や賃借人の通常使用により生じる賃借物件の損耗・毀損(「通常損耗」といいます。)については、その原状回復は賃貸人が負担すべきものです。

ただし、契約書上で通常損耗の一部についても賃借人に原状回復義務を負わせていることはありますので、賃貸借契約を締結する際によく確認する必要があります。

敷金の返還請求をする場合に、明け渡しの時期や、物件の損傷具合が争いになることがあります。

賃借物件を明け渡す際には、原状回復後に賃貸人側に鍵を返還した日付がわかるように記録しておきましょう。

また、明渡し時には、原状回復済みの物件内の様子がわかるように各部屋の写真を必ず撮影しておくようにしましょう。

明渡時の状態を写真で記録化しておかないと、賃貸人側から原状回復費用の請求をされた際に、原状回復の必要性の検討が難しくなってしまいます。

監修者:弁護士 今村公治

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