業種
お困りの問題 , ,
担当弁護士

相談前

不動産会社A社では、少数株主の親族から様々な要求がきていました。少数株主の親族は同業他社も経営しています。今回、不動産会社A社の定款の閲覧・謄写を請求してきました。

相談後

事案を検討した結果、株主からの請求であることが確認できる以上、特段の事情がない限りは定款の閲覧謄写を最終的には拒むことは難しいという検討結果でした。他にも、会計帳簿の閲覧謄写請求、取締役会議事録の閲覧謄写請求、株主総会議事録の閲覧謄写請求もされている状況でした。事案の最終的な解決のためには、徹底抗戦する一方で、株式の買取を検討したり、会社法上の規定を順守した経営を続けていくことが重要と思われる状況でした。そのため、裁判所での和解又は決定であれば定款の開示には応じるという方針を立てました。株主から各種資料の開示を求める裁判が起こされ、権利濫用である旨を争いましたが、最終的には裁判所の和解勧告に従い、定款を開示することで裁判は取り下げとしました。

担当弁護士からのコメント

  • 株主は定款の閲覧及び謄写をする権利を有しています。株数による制限はありません。会計帳簿の閲覧謄写制限などは株数による制限がありますが、定款の閲覧謄写請求については株数による制限はありません。
  • 会社の債権者は定款の閲覧及び謄写をする権利を有しています。
  • 会社の各種書類については、株主総会議事録・取締役会議事録・会計帳簿などの閲覧・謄写請求があります。各種書類の種類によって、請求が認められるかどうかの要件が異なっていますので、請求があった場合には慎重な判断が必要です。
  • 定款の閲覧謄写請求があった場合、一般的には請求を拒むことは難しいのではないかと思います。本件においても、過去の経緯及び同業他社を営んでいることに鑑み、権利濫用である旨の主張をしましたが、裁判所の和解案においては、権利濫用を裏付ける主張・立証はないとの判断でした。裁判所の判断には最終的には従いましたが、既に相手は定款のコピーを保持している可能性も高く、法務局でも定款の取り寄せはできるのではないかと思われましたので、残念な判断となってしまいました。
  • 株主間紛争の場合、局所的な紛争の解決のみならず、最終的にどのような解決を図るかという全体像を考えることが非常に重要になってきますので、専門家と一緒に事案を慎重に検討することが必要です。