業種
お困りの問題 , ,
担当弁護士

相談前

不動産会社A社では、以前より親族の少数株主から様々な要求がきていました。株主総会での質問が多岐にわたったり、会計帳簿の閲覧謄写を請求されたりしてきました。このたび、過去5年にわたる取締役会の議事録を閲覧・謄写したいとの請求が会社に届きました。なお、親族の少数株主は同業他社を経営していました。

相談後

株主からの請求は不当な要求である可能性があったので、開示については一律で拒否をしました。取締役会議事録の閲覧謄写を求める申立が裁判所に対して株主側からされました。会社としては、不当な目的であり株主としての権利を行使するために必要がないことを裁判で主張しました。結果的には、裁判所の決定により、過去5年分の取締役会議事録全てではなく、一部の開示にとどめることができました。

担当弁護士からのコメント

  • 取締役会議事録については、株主は、株主としての権利を行使するために必要な範囲において、閲覧・謄写(コピー)が可能です。株主としての権利を行使するために必要かどうかという点について争いがある場合には、株主が裁判所に申立をして、最終的には裁判所が決定をするということになります。営業妨害・秘密漏洩・嫌がらせなどの不当な目的の場合には、裁判所は株主としての権利を行使するために必要ではないと判断することもあります。
  • 監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社では、株主は無条件に取締役会議事録の閲覧謄写ができるのではなく、裁判所の許可が必要です。取締役会設置会社の債権者は、役員又は執行役の責任を追及するために必要があるときは、裁判所の許可を得て、取締役会議事録等の閲覧・謄写が可能です。
  • 会社の各種資料(株主総会議事録・取締役会議事録・会計帳簿・定款・株主名簿等の各種資料)の開示請求があった場合、開示請求への対応のみならず、株主間紛争全体をどのように解決するかという観点が非常に重要です。株式の買取りによる解決も選択肢の1つですし、適法に会社を経営することにより少数株主に文句を言われないようにするということも選択肢の1つです。いずれにしても、株主間紛争が発生してしまっている場合、会社側としては弁護士に相談をしながら慎重に対応を進めていく必要があります。