業種
お困りの問題 ,
担当弁護士

相談前

千葉県でサービス業を営むA社から、退職した従業員の競業行為についてのご相談がありました。

内容としては、約1年前にA社を退職したBが、A社のクライアント企業に声をかけ、サービスの乗り換えを提案しているというものでした。その提案の中で、A社の経済状況・内部事情等につき、虚偽の事実を話していることも発覚しました。

相談後

A社としては、同業を営むこと自体は構わないが、クライアントへの声掛けや、A社の信頼を低下させる行為を今すぐに辞めさせたい、という意向を持っていました。

企業の信頼問題に関わる重大な問題であり、かつ早期対応が必要であったため、顧問契約を締結した上で、Bと交渉を行うこととなりました。

ご相談をいただいてすぐに、弁護士名義の通知書を内容証明郵便で送りました。内容としては、Bの行動を特定した上で、Bの行為が在職時の競業避止義務違反に当たり得る行為であること、不正競争防止法にも反すること、直ちに行為をやめない場合には、法的手段に移行する旨の記載を行いました。

書面を送って以降、Bから連絡はありませんでしたが、それ以降、A社のクライアントに声をかけるといった行為は止み、A社の意向を実現することができました。

担当弁護士からのコメント

職業選択の自由から、退職した従業員は、退職会社に対し、当然に競業避止義務を負うわけではありません。退職後も競業を禁じたい場合には、入社時・退職時の誓約書、雇用契約書、就業規則等により、在職中に、退職後の競業避止を決めておく必要がありますし、その内容によっては、競業禁止の合意自体が無効とされることもあります(目的、禁止の期間、範囲、在職時の待遇、役職等の事情を考慮した上で、相当な範囲に制限されることが多いです)。

もっとも、競業禁止の合意がない場合であっても、不正競争防止法で定める「不正競争行為」に該当する行為については、差止請求等を行うことができます。本件も、競業禁止の合意自体の有効性は微妙な事案でしたが、Bの行為は明らかに不正競争行為に該当する行為でしたので、この部分を全面的に押し出す形で通知書を作成しました。その結果、早期にBの行為をやめさせることができました。

退職従業員の競業の防止には、社内規程の整備がまずは重要ですが、実際に競業行為・不正競争行為を覚知した場合には、迅速に対応する必要があります(企業の信頼問題に関わります)。

※なお、Bへの対応後、社内規程についても見直しを行い、今後の競業トラブルについての予防も行いました。