業種 | 建設業・建築関係 |
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お困りの問題 | 役員人事・裁判, 株主総会, 顧問 |
担当弁護士 | 大澤 一郎 弁護士 |
相談前
千葉県で建設業を営む株式会社A建設は取締役間で会社の方向性について意見が合わずに困っている状況でした。
相談後
弁護士に相談して、会社が顧問契約を締結して問題の解決にあたることにしました。
当初は話し合いによって取締役が任意に退任をしてもらうことによる解決を目指しました。しかしながら、取締役と連絡がとれなくなってしまい、取締役が職務放棄ともいえる状況になってしまいました。
そのため、株主総会を招集し、株主総会決議で当該取締役を解任しました。解任の場合、取締役の任期の残期間の報酬請求がくるというリスクはありましたが、結果的には残期間の報酬請求をされることなく問題が解決しました。
担当弁護士からのコメント
- 取締役間で意見が合わない場合、多数株主であれば株主総会を開催して取締役を解任することはルールとしては可能です(会社法339条1項)
- 他方、解任について正当な理由があると判断されない場合には、取締役は会社に対して残期間の損害賠償請求が可能となります。(会社法339条2項)
- 「正当な理由」があるかどうかは事案ごとの判断となりますが、一般に考えられているよりも「正当な理由」が認められる確率は低いという印象です。そのため、取締役の解任を検討している場合には、事前に正当な理由があるかどうかの慎重な検討が必要です。
- また、取締役の任期の残期間がどれだけあるかという点も注意が必要です。まずは、会社の「定款」(ていかん)を確認しましょう。株式会社の取締役は定款で定めることにより任期を10年までとすることができます。また、10年でなくても4年、5年などの比較的長期間の任期を設けていることがあります。
- 定款に取締役の任期の記載がない場合、取締役の任期は選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとなります(会社法第332条第1項)。要するに、概ね2年となります。
- 仮に、残任期が4年あり、月額役員報酬が50万円だった場合、50万円×12ヵ月×4年=2400万円の損害賠償ということになります。会社経営を揺るがす事態になる金額となることもあります。
- また、株主総会の決議不存在・決議取消などの理由により解任決議の効力がないと判断されてしまうこともあります。株主総会の手続きを慎重かつ確実に行うことが必要です。