業種 | 学校・学習塾・教育 |
---|---|
お困りの問題 | 顧問 |
担当弁護士 | 大澤 一郎 弁護士 |
相談前
多店舗を展開する学習塾では,多数の賃貸物件を借りていました。多数借りている物件の1つについて,貸主が「契約書に定めた賃貸借契約の期間が終了したので建物を明渡して欲しい」と要求してきました。従前から顧問契約を締結していた弁護士に相談をしました。
相談後
契約書を確認したところ,確かに契約期間は経過していました。ただし,賃貸借契約の種類は普通借家契約であり定期借家契約ではありませんでした。また,建物が古かったことは事実ですが,まだ利用が十分に可能な状態でした。そのため,賃貸借契約に関する弁護士名の意見書を作成し,明渡義務がないという結論をまとめました。その意見書を前提に不動産オーナーと交渉をしたところ,不動産オーナー側はあっさりとあきらめました。
担当弁護士からのコメント
- 建物賃貸借契約の終了に関しては,期間の経過以外にも正当な事由が必要です。立退料の提供なしで正当の事由を満たすことは比較的少ないかと思われます。そのため,今回の事案でも正当の事由がないことを主張することにより,不動産オーナーの要求を退けることに成功しました。不動産賃貸借契約においては契約書に記載された内容がそのまま有効となるとは限りません。借地借家法やその他各種法律によって契約内容が自動的に変更となることがありますので注意が必要です。
- 学習塾の場合,他には従業員とのトラブルが比較的多くみられます。従業員が退社後の独立をめぐるトラブル,従業員の残業代請求,従業員の解雇などの問題です。従業員との対応は慎重に行っていく必要があります。また,クレーマー対策が必要なこともあります。さらに,規模が大きい学習塾の場合には,塾の費用の未納という問題も発生します。少額の債権が多数発生しますので顧問弁護士に依頼をした上で内容証明郵便を発送するなどの対応が効果的です。(なお,契約書作成段階で連帯保証人をきちんと確保しておくという点も非常に大切です。)
- 学習塾や学校の場合,教育機関としての公共性があります。自社の権利のみを請求し続けると,結果として地域での評判を落とすという事態が発生する可能性もありますので,慎重に法律関係を整理して対応する必要があります。
- 学校の場合には,学校での事故が大きなトラブルとなることもあります。事故防止のマニュアルの作成,賠償責任保険への加入など大きなリスクを避けるための取組をしっかりと行っていきましょう。