ストーリーでわかる無断欠勤、遅刻や早退を繰り返す社員対応

目次

株式会社よつば総合運送は、従業員20名で、運送業を営んでいる会社です。

社長は、最近入った従業員が無断欠勤、遅刻や早退を繰り返して困っていました。

そこで、顧問弁護士であるよつば総合法律事務所に相談することにしました。

社長
社長
無断欠勤、遅刻や早退を繰り返す社員に困っています。どのように対応すればよいでしょうか?
まずは口頭で注意をしましょう。口頭の注意で改善しない場合には、書面での注意を実施します。
それでも改善が見られない場合は、軽い懲戒処分を行います。このタイミングで退職勧奨を検討するのが良いでしょう。
弁護士
弁護士
社長
社長
先生、分かりました!まずは口頭で注意をしてみます!

1. 口頭での注意(2月)

社長は、弁護士からのアドバイスを基に、社員Aさんに口頭で注意を行うことにしました。

会議室にて(2月1日)

社長
社長
今日はAさんの上司であるX部長にも同席してもらいます。
Aさん、ここ1か月で無断欠勤、遅刻や早退を繰り返していますね。何か理由があるのですか。
いや特にはないです・・・・・・
Aさん
Aさん
社長
社長
体調でも悪いのですか。
体調は悪くないです。朝が起きられなくて・・・・・・仕事のやる気があまり出ないというか・・・・・・
Aさん
Aさん
社長
社長
タイムカードを見ると、1月12日と1月17日に無断欠勤、1月23日に無断遅刻、1月30日に無断早退をしているようですね。
会社として、無断で欠勤、遅刻、早退をされると大変困ります。今後はこのようなことがないようにしてください。
・・・・・・わかりました。
Aさん
Aさん

Aさんは社長から注意をされた後も、欠勤、遅刻や早退を繰り返しました。

社長やX部長は、2月1日と同じように、繰り返し口頭で注意を行いましたが、Aさんの勤務態度に改善は見られませんでした。

弁護士からのアドバイス① ~口頭で注意するときの注意点~

弁護士
弁護士
従業員を口頭注意する場合、場所や言葉遣いなど気を付けなければならない事項があります。
対応を誤ると、パワハラと指摘されるかもしれません。特に次の3つの事項に注意しましょう。

① 個室で行う!

他の従業員がいる場所で、対象社員に対して注意・指導をすることは避ける必要があります。対象社員の名誉感情を害する可能性があるからです。

また、他の従業員が注意・指導を目撃した場合、その従業員が委縮してしまい就業環境を害する可能性も考えられます。

対象社員の指導は、会議室などの個室を使って行うようにしましょう。

② 長くても30分~1時間以内に終わらせる!

注意・指導の目的は、対象社員に問題点を自覚させ、改善させることにあります。

必要以上に長時間の注意・指導を行うと、注意・指導の正当性が否定されてしまいます。

注意・指導は長くとも30分~1時間以内にとどめるようにしましょう。

③ 紳士的な対応を心がけよう!

注意・指導の目的は、退職してもらうことではなく、勤務態度を改善してもらうことです。

大声、罵声、長時間の叱責、侮辱、皮肉めいた発言、退職を強要する発言は厳に慎まなければなりません。

仮に相手が録音していても問題ない言動を心がけるべきです。相手に対してリスペクトをもって接するようにしましょう。

なお、無断欠勤、遅刻等が体調不良から生じているケースもあります。体調不良が原因の場合は、会社として取るべき対応が変わります。

したがって、今回の社長のように従業員の体調を確認するのが適切です。

口頭で体調を確認するだけではなく、普段の様子で体調に問題がないか上司にも確認しておきましょう。

2. 書面での注意(3月)

会議室にて(3月1日)

社長
社長
私は、無断欠勤、遅刻、早退をしないように何度もAさんに口頭注意をしてきましたね。
それにもかかわらず、改善が見られません。
繰り返しになりますが、当社は無断欠勤、遅刻、早退は認めていません。

 

今回は、口頭ではなく書面で厳重注意をします。
指導書を渡しますから内容を確認して、3月6日午後6時までに署名・押印をした誓約書を提出してください。

令和6年3月1日

A殿 

株式会社よつば総合運送
代表取締役 四葉一郎 印

指導書

貴殿の以下の行為について厳重注意をします。
当社は、貴殿に対して、正当な理由なく、欠勤、遅刻および早退を繰り返すことを止めるよう口頭注意を繰り返し行いました。それにもかかわらず改善が見られません。速やかに改善してください。

1 厳重注意の理由となる事実

正当な理由なく、欠勤、遅刻および早退を繰り返すことを禁止しているにもかかわらず、以下のとおり、無断で欠勤、遅刻、早退等をしたこと。

令和6年1月12日 欠勤
令和6年1月17日 欠勤
令和6年1月23日 始業から30分遅刻
令和6年1月30日 無断早退
令和6年2月16日 欠勤
令和6年2月22日 欠勤
令和6年2月26日 始業から30分遅刻

以上

その後、Aさんは相変わらず、無断欠勤、遅刻、早退を繰り返しています。

社長は、再度指導書を交付して、書面による2回目の厳重注意を行いましたが、改善はみられませんでした。

弁護士からのアドバイス② ~なぜ書面での注意を行うのか~

弁護士
弁護士

「口頭で注意をして改善されないなら、すぐに懲戒処分をすればよいのではないか」と思うかもしれません。

 

でも待ってください。

実際には注意・指導を行っていたとしても、その証拠が残っていなければ、裁判所は注意・指導を行ったと認定してくれません。

注意・指導を行った証拠が残っておらず、会社が裁判に負けた事例は数多くあります。

書面によって、注意・指導をしたという証拠を残すことが非常に大切です。

 

また、指導書を対象社員に交付した際に、指導書を受け取った旨の受領書を書いてもらいましょう。

難しければ指導書のコピーにサインをもらう方法でも構いません。いずれも後で、指導書を受け取った、受け取っていないという紛争を避けるためです。

 

なお、注意指導が複数回にわたる場合など、ケースによっては書面で従業員側の言い分を確認したり、遵守事項を記載した誓約書の提出を求めたりする場合もあります。

3. 懲戒処分(4月)

社長は、Aさんの行為について懲戒処分を行うことにしました。

社長は就業規則を確認して、Aさんの行為が懲戒事由に該当することを確認しました。

第67条(懲戒の種類)

会社は、労働者が次条のいずれかに該当する場合は、その情状に応じ、次の区分により懲戒を行う。
(1) 譴責 始末書を提出させて将来を戒める。

第68条(懲戒の事由)

労働者が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、譴責、減給又は出勤停止とする。
(2) 正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退をしたとき。

社長はAさんに、弁明の機会付与通知書と弁明書を交付しました。

令和6年4月1日

A殿

株式会社よつば総合運送
代表取締役 四葉一郎 印

弁明の機会付与通知書

当社は、貴殿の以下の行為について、本日付で懲戒処分手続に付する決定をしました。弁明の機会を付与しますので、以下のとおり弁明書を提出してください。

1 懲戒処分の根拠
当社就業規則第68条(懲戒の事由)
労働者が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、譴責、減給又は出勤停止とする。

(2)正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退をしたとき。

2 懲戒処分の原因となる事実
正当な理由なく、欠勤、遅刻および早退を繰り返すことを禁止しているにもかかわらず、以下のとおり、無断で欠勤、遅刻、早退等をしたこと。

令和6年1月12日 欠勤
令和6年1月17日 欠勤
令和6年1月23日 始業から30分遅刻
令和6年1月30日 終業30分前に早退
令和6年2月16日 欠勤
令和6年2月22日 欠勤
令和6年2月26日 始業から30分遅刻
令和6年3月11日 欠勤
令和6年3月15日 終業1時間前に早退

3 弁明の方法
弁明書の提出による。

4 弁明書の提出先
代表取締役 四葉一郎

5 弁明書の提出期限
令和6年4月8日午後6時

以上

令和 年 月 日

株式会社よつば総合運送 御中

従業員氏名

弁明書

私は、令和6年4月1日付の懲戒処分手続に付する決定に対して、以下のとおり弁明します。

弁明の機会付与通知書と弁明書を交付した4日後である令和6年4月5日、Aさんから以下の弁明書が提出されました。

令和6年4月5日

株式会社よつば総合運送 御中

従業員氏名  A  印

弁明書

私は、令和6年4月1日付の懲戒処分手続に付する決定に対して、以下のとおり弁明します。

事実は争いません。ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。

Aさんは反省の態度を示しています。しかし、これまでの経緯に鑑みて、社長はAさんに譴責の懲戒処分を行うことにしました。

社長は、Aさんに懲戒処分通知書を交付しました。

令和6年4月10日

A殿

株式会社よつば総合運送
代表取締役 四葉一郎 印

懲戒処分通知書

貴殿を本日付で譴責処分とする。

1 譴責処分の理由
当社は、正当な理由なく、欠勤、遅刻および早退を繰り返すことを禁止しているにもかかわらず、貴殿は以下のとおり、無断で欠勤、遅刻、早退等をした。

令和6年1月12日 欠勤
令和6年1月17日 欠勤
令和6年1月23日 始業から30分遅刻
令和6年1月30日 終業30分前に早退
令和6年2月16日 欠勤
令和6年2月22日 欠勤
令和6年2月26日 始業から30分遅刻
令和6年3月11日 欠勤
令和6年3月15日 終業1時間前に早退

貴殿のかかる行為は、当社就業規則第68条1項2号「正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退をしたとき」に該当する。
よって、貴殿を譴責処分とする旨通知する。

2 始末書の提出
当社は貴殿に対して、就業規則第67条1項1号に基づき、始末書を令和6年4月17日午後6時までに代表取締役四葉一郎宛てに提出するように命じる。

以上

弁護士からのアドバイス③ ~懲戒処分の注意点~

弁護士
弁護士
懲戒処分は一種の制裁罰ですから、慎重に進める必要があります。主に次の5つの事項に注意しましょう。

① 就業規則に懲戒事由が定められ、周知されているか

就業規則が存在しない場合、対象社員を懲戒処分することができません。

弁護士が、「就業規則を作りましょう」と説明する理由の1つが、これになります。従業員の行動に対して懲戒処分ができないのは大変恐ろしいことです。

また、就業規則は作って終わりではありません。従業員全員に就業規則を周知しなければ、労働契約との関係で効力が生じないため、就業規則は必ず周知をしましょう。

② 就業規則に記載されている懲戒事由に当てはまるか

従業員の行動が、就業規則に記載されている懲戒事由に当てはまるか確認をしましょう。

もし従業員の行動が具体的な懲戒事由に該当しない場合、「その他この規則および諸規定に違反し、または前各号に準ずる程度の行為を行ったとき」という包括的な規定が使えないか検討することになります。

③ 弁明の機会を付与したか

弁明の機会の付与は、従業員に反論の機会を設けるという非常に大切な手続です。

重大な不利益が生じる懲戒処分の場合や、就業規則上必要とする旨の定めがある場合は、弁明の機会を付与することなく懲戒処分をすれば、それだけで懲戒処分が無効と判断されてしまう確率が高いです。

④ 就業規則上、要求されている手続がないか

就業規則によっては、懲戒処分については懲戒委員会で審議する等の記載がある場合があります。

この場合、就業規則に記載されている方法に則って懲戒手続を進めなければ、懲戒処分が無効と判断されてしまう確率が高いです。

⑤ 懲戒処分の対象となる行為と懲戒処分の内容のバランスが取れているか

従業員が行った行為と、懲戒処分の内容の均衡がとれているかも重要なポイントになります。

たとえば、数回遅刻をしたことを理由に従業員を懲戒解雇した場合、その懲戒解雇はほぼ100%無効になるでしょう。

会社として重たい処分をしたい気持ちは良く分かりますが、冷静になる必要があります。

4. 退職勧奨(4月)

社長は、これ以上Aさんを雇い続けたくありませんでした。

しかし、今の状況でAさんを解雇すると、解雇無効として争われた場合に、ほぼ100%会社が負けてしまいます。

解雇無効で判決が下されると、会社の被害は甚大です。数百万円の支払いが命じられるのみならず、Aさんの復職が命じられることになります。

そこで、社長は、Aさんに退職勧奨をすることにしました。

(1) 退職勧奨の準備

社長は、Aさんの退職勧奨に向けて、次の準備を行いました。

① 社長は、Aさんの欠勤、遅刻、早退の日付、時間と回数をまとめました。

② 社長は、Aさんの退職勧奨について、他の取締役2人と、Aさんの直属の上司であるX部長と話し合いをしました。

その結果、全員がAさんの退職勧奨について同意し、Aさんへの退職勧奨は、会社の総意として確認されました。

③ Aさんの平均賃金を出してみると、1日1万円でした。

④ Aさんの残りの年次有給休暇は10日で、退職金はありませんでした。

⑤ 社長は、退職勧奨をスムーズに進めることのできるよう、Aさんの3か月分の給与である90万円を用意して、退職勧奨に臨むことにしました。

⑥ 社長は退職勧奨の際に、Aさんから予測される質問に対する答えを記載したメモを作りました。

退職勧奨・問答メモ

Q これは解雇ということですか。

A 退職を勧めているだけで、解雇ではありません。

Q この場で回答しないとだめですか。

A そんなことはありません。一度持ち帰って検討していただいて大丈夫です。

もちろん、今回答してもらっても差し支えありません。

Q 退職に応じた場合、会社都合退職になりますか。

A もちろん会社都合退職です。ですので、ハローワークに離職票を提出してから7日後に失業保険を受け取ることができます。

Q 生活に困ってしまうので、会社を辞めることはできません。

A そのことは会社も良く理解していますから、できる限りの手当をします。

解決金として3か月分の給与相当額である90万円を支払う用意があります。

ハローワークに離職票を提出してから7日後に失業保険を受けることもできるかもしれませんので、当面はお金で困ることはないはずです。

Q このような方法はパワハラで違法ではないですか。

A あくまで退職を勧めているだけで、パワハラでも違法でもありません。応じるかどうかはAさん次第です。

Q 退職勧奨に応じなければどうなるのですか。

A 引き続きAさんに働いてもらうことになります。

Aさんの行動に改善が見られない場合には、適宜注意指導や懲戒処分を行っていくことになります。

(2)退職勧奨の実施・1回目(4月15日)

社長は、X部長に同席をお願いして、Aさんを会議室に呼び出しました。

会議室にて(4月15日)

社長
社長
私たちは、無断欠勤、遅刻、早退を止めるように何度も厳重注意をし、改善をするように指導を続けてきました。Aさんは勤務態度を改善する機会がたくさんあったはずです。

 

しかし、Aさんは、勤務態度を改善することなく同じことを繰り返していますね。

先日、取締役全員とX部長で、Aさんの処遇をどうするか話し合いをしました。

 

その結果、Aさんは、この会社に合ってなかったという結論に至りました。会社の考えとして、Aさんに退職してもらいたいと考えています。Aさんはどのように思いますか。

社長からもX部長から何度も指導をいただいて、勤務態度を改善しなければいけないということは良く理解しています。

 

しかし、私の意思が弱くて、思うように改善できませんでした・・・退職してほしいとのことですが、私にも生活があります・・・

今この場で結論を出さなければならないのでしょうか

Aさん
Aさん
社長
社長
今この場で結論を出す必要はありません。

Aさんにとって、大切なことですから、持ち帰って考えてもらって大丈夫です。

 

もしAさんが退職をするというのであれば、Aさんの今後の生活を考えて、会社としてある程度のお金を出すつもりです。

また、会社都合退職になりますから、ハローワークに離職票を提出してから7日後には失業保険を受け取ることができるかもしれません。

 

会社からのお金と失業保険からのお金を使って、新しい就職先を見つけてもらえればと思っています。

いくら支払ってくれるのでしょうか。
Aさん
Aさん
社長
社長
Aさんの今後の生活のことを考えて合計で3か月分の給与に相当する90万円お支払いする予定です。
・・・・・・わかりました。一度持ち帰って検討してみます。
Aさん
Aさん

(3)退職勧奨の実施・2回目(4月22日)

1週間後、社長は1回目の退職勧奨のときと同じように、X部長に同席をお願いして、Aさんを会議室に呼び出しました。

会議室にて(4月22日)

社長
社長
退職をお願いしてから1週間経ちました。退職についてAさんの気持ちは決まりましたか。
色々考えましたが、会社を辞めて新しい職場で働こうと思います。私にこの会社は合ってなかったのだと思います。
Aさん
Aさん
社長
社長
分かりました。Aさんの退職の意思表示を承諾します。

新しい職場で頑張ってください。これが退職合意書になりますから、確認をして、署名押印をしてください。

Aさんは確認後、退職合意書に署名・押印をしました。

退職合意書

株式会社よつば総合運送(以下「甲」という。)及びA(以下「乙」という。)は、甲と乙の雇用契約の終了に関する一切の紛争(以下「本件紛争」という。)について、本日以下のとおり合意した。

第1条 (合意解約)
甲及び乙は、令和6年4月30日付で、甲・乙間の雇用契約が合意退職により終了することを相互に確認する。

第2条 (退職理由)
本件合意退職に関し、離職証明書の離職理由は、退職勧奨(会社都合退職)とする。

第3条 (解決金)
(1)甲は乙に対し、本件紛争の一切の解決金として、金90万円の支払義務があることを認める。
(2)甲は乙に対し、1項の金員を令和6年4月末日限り、以下の口座に振り込む方法により支払う。支払手数料は甲の負担とする。
<指定口座>
よつば総合銀行 よつば支店 普通預金口座 口座番号1234567 口座名義人A

第4条 (私物の取り扱い)
乙は、令和6年4月30日までに、私物を持ち帰ることとする。退職日の翌日以降に乙の残置物があった場合、甲は当該残置物を自由に処分することができる。

第5条 (貸与品の取り扱い)
乙は、令和6年4月30日までに、甲からの貸与された一切の物品、業務用資料及び健康保険証を甲に返却する。

第6条 (口外禁止)
甲及び乙は、本件紛争の存在、内容、本合意書の存在及び内容の一切を厳格に秘密して保持し、その理由の如何、方法の如何(SNS、口コミサイトへの投稿も含む)、相手方の如何にかかわらず、一切開示又は漏洩をしない。

第7条 (誹謗中傷等の禁止)
乙は、その理由の如何、方法の如何(SNS、口コミサイトへの投稿も含む)、相手方の如何にかかわらず、甲の役員・従業員、甲の取引先、提携先等(以下「甲の役員等」という。)に対する誹謗中傷その他名誉又は信用を棄損する言動を一切行わない。

第8条 (秘密保持)
乙は、甲の在職中に知り得た甲及び甲の役員等の営業秘密及び個人情報について、退職後も第三者に漏洩しないものとする。

第9条 (清算条項)
甲及び乙は、甲と乙との間には、本合意書の定めるもののほかに何らの債権債務が存在しないことを相互に確認する。

以下の合意成立の証として、本合意書を2通作成し、甲・乙各自1通ずつ保管をする。

令和6年4月22日

甲 千葉市中央区よつば1丁目1-1
株式会社よつば総合運送 
代表取締役 四葉一郎 印
乙 千葉市四葉区よつば台999番
A  印

社長
社長
それでは、Aさん、合意書どおり今月末付の退職となります。退職後は、別の職場で頑張ってください。
いままでお世話になりました。ありがとうございました。
Aさん
Aさん

弁護士からのアドバイス④ ~退職勧奨の注意点~

弁護士
弁護士
退職勧奨とは、労働者に対し退職を勧めることをいい、労働者が退職勧奨に応じれば合意退職になります。

退職勧奨の最大のメリットは、解雇の場合と比べて紛争のリスクが圧倒的に低いという点です。その理由は、従業員が納得の上で退職という選択をしていることにあります。

 

従業員が退職勧奨に応じるか否かは、従業員の自由になります。従業員を辞めさせようと無理な退職勧奨をした場合、退職勧奨が無効になる可能性があります。

退職勧奨をする際には、主に次の事項に注意しましょう。

  1. 解雇ができないのに「退職勧奨に応じなければ解雇する」と告げて退職勧奨を行うこと
  2. 従業員が退職勧奨に応じないことを明確にしているのにもかかわらず、執拗に退職勧奨を行うこと
  3. 退職を強要する形で退職勧奨を行うこと
  4. 虚偽の事実を告げて、退職勧奨を行うこと

退職勧奨を適切な方法で行うのは簡単ではありません。

退職勧奨を行う前に、弁護士にご相談されることをお勧めします。

お問い合わせはこちら

監修者:弁護士 米井舜一郎

※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。