外国人雇用のキソ

1.深刻な人手不足

少子高齢化社会の影響なのか、業種を問わず様々な業界で人手不足が問題となっています。企業の規模を問わず、多くの企業が外国人を積極的に雇用しております。

今回は、外国人の雇用のキソを紹介します。

2.外国人=働けるとは限らない?

そもそも、外国人が日本に滞在するためには在留資格が必要となります。

外国人が日本で働く(就労)するためには、①就労することが認められる在留資格であるか、②就労が認められる資格外活動許可を入国管理局から受ける必要があります。

参考 在留資格

  1. 就労が認められる在留資格(活動制限あり)
    外交、公用、介護、特定技能、技能実習等
    これらの在留資格は、就労は認められるものの、活動制限があるものです。
    たとえば、介護の在留資格の外国人は、介護以外の就労は認められません。
  2. 身分・地位に基づく在留資格
    永住者、定住者等
    これらの在留資格は、活動制限はありません。どのような職種でも就労は可能となります。
  3. 就労の可否は指定される活動によるもの
    特定活動(ワーキングホリデー等)
    この在留資格は、法務大臣よって個別に活動が指定されます。
  4. 原則として就労が認められない在留資格
    文化活動、留学等
    これらの在留資格は、原則として就労することはできません。ただし、資格外活動許可を受けることで、一定の範囲内での就労は認められます。

3.雇用主が最も注意すべきこと

外国人を雇用する場合、何よりも注意して欲しいのは、不法就労助長罪(入管法73条の2第1項)です。

不法就労となるのは

  1. 不法滞在など在留資格を持たない外国人が働く場合
    例えば、密入国した外国人が働く場合や在留期限が過ぎてしまった外国人が働く場合等
  2. 入国管理局から認められた範囲を超えて外国人が働く場合
    例えば、介護の在留資格を有する外国人が外国料理屋で働く場合や資格外活動許可を受けた留学生が週に28時間を超えて働く場合等

雇用している外国人が不法就労となる場合、雇用主自身に不法就労助長罪が成立してしまうおそれがあります(過失がない場合には不法就労助長罪は成立しませんが…)。

外国人の言葉だけを信じて雇ったものの不法就労となってしまった場合、雇用主に不法就労助長罪が成立してしまう可能性が高いです。

外国人を雇う際には必ず外国人の在留資格カード原本を確認し、在留資格を確認してください。

不法就労助長罪のほかにもハローワークへの届け出等、外国人を雇う際には、注意すべき点がいくつもありますので、外国人を雇う際には是非専門家にご相談ください。

監修者:弁護士 大澤一郎

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※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。