経営者の新しい認知症対策

経営者が認知症になると…

人生100年時代!誰もが長生きしたいものです。

そして、社長も元気です。

帝国データバンクの2018年の調査によると、全国の社長の平均年齢が最高齢となったとのことです。

経営者の方がいつまでも元気で現役でいることにこしたことはありません。

しかし、経営者が認知症になり判断能力が無くなってしまうと、その経営者は会社を代表しての契約締結などができなってしまいます。

しかも、会社のほぼ100%の株式をその経営者が持っていた場合、成年後見人を選任してもらわなくては新たに役員を選ぶこともできなくなってしまいます。

新しい認知症対策

今までは、認知症対策と言えば、代表的なものは、後見制度の利用でした。

しかし、後見制度の利用は、間に裁判所を介すものであり、敬遠してしまう方も数多くいらっしゃいました。

しかし、民事信託を利用し、経営者の株式を信頼できる人に託し、経営者の株式を管理・利用してもらうことも可能です。

具体例

現代表取締役兼100%株主のAさんは、長男のBさんとの間で、

  • 自己が認知症になることに備えて、株式の管理をBさんに託す
  • Aさんに判断能力がある場合には、AさんがBさんに対して指図権を利用して、Bさんはその指図に従い株式の権利を行使する

ことについて合意しました(信託契約)。

この信託契約により、Aさんは、株式について指図権を利用することにより、役員を選任する権利等を保有したまま、管理をBさんに任せることができます。

そして、Aさんが認知症などにより意思決定ができない場合には、Bさんが、役員の選任など株主としての権利を行使することができます。

このように民事信託を利用すれば、裁判所を介さずに、自身の株式を管理してもらうことが可能となり、人生100年時代に対応した幅広い選択が可能となります。

すぐにでも専門家に相談

民事信託の設定自体は、判断能力がしっかりしている行う必要があるので、ご注意ください。

また、民事信託は少々複雑なところがありますので、ご不明な点などございましたら専門家にご相談ください。

監修者:弁護士 大澤一郎

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※上記記事は、本記事作成時点における法律・裁判例等に基づくものとなります。また、本記事の作成者の私見等を多分に含むものであり、内容の正確性を必ずしも保証するものではありませんので、ご了承ください。