外国人技能実習制度

みなさん、この制度の名前を聞かれたことはあるでしょうか? 最近ニュースで、日本が人手不足であるとか、少子高齢化で将来が不安であるというようなときによくとりあげられているかと思いますが、今回はその制度についてブログを書いてみました。

1. 制度の目的

この制度は、名前のとおり、日本が先進国としての役割を果たすために、発展途上国から人を受け入れ、仕事をしてもらうことで技能・技術・知識等を習得させ、「人づくり」を通して発展途上国の経済発展に協力することを目的とした制度です。つまり、日本が先進国として国際貢献をするための制度であるといえます。

そのため、日本の人手不足を解消することを目的とする制度ではないことはお分かり頂けるかと思いますが、実際の受け入れる日本企業側の意図としては専ら人手不足を補うという認識で利用されている現状もあるのではと思います。

2. 過去の経緯と問題点

外国人技能実習生については、昔から人権侵害がなされているのではないかという批判がありました。

まず賃金面についてですが、正社員に比べて多くの場合月収がかなり低く設定されているケースが多いと言われています。また、労働環境についても、技能実習生は入国直後の講習期間以外は、雇用関係の下、労働関係法令等が適用されることとなっています。

しかし厚生労働省の調査によると約7割以上で労働基準関係法令上の違法が見られたという調査結果があるように、不当な長時間勤務や、安全性が十分に確保されていない職場で働かせ実際に事故が発生し外国人実習生が負傷するなど、労働環境が劣悪であるとも指摘されていました。

3. 法改正

そこで、平成28年11月28日に新しい技能実習法が公布され、平成29年11月1日から施行されています。

ここでは、まず技能実習計画を作成した上で、新設される外国人技能実習機構の認定を受けることとされました。そして、実習実施者はその計画に従って技能実習を実施させなければならないとされ、管理事業を行うものは事前に同機構の許可を得る必要があるとされました。

このような形にし、違反者にはペナルティを設定することで、実習の適正な実施及び実習生の保護を図ることが期待されています。
つまり、より監督できるような仕組みにして実習生の保護を図るとともに、優良な実施団体には在留期間を3年間から5年間に伸ばし、人数枠も拡張を認める内容となっています。

4. 最新の動向

つい先日、新聞でもとりあげられていましたが、平成29年11月に追加された介護職種について、平成30年5月1日付で監督機関が初めて実習生の受け入れを認定しました。

今回の受け入れが認定されたのは中国人女性2名で、手続きが順調に進めば6月にも入国し、1か月間の研修を受けた後、グループホームと介護付有料老人ホームで働くことのことです。

受け入れた会社の社長は将来の中国での事業展開を見据えて受け入れたそうで、中国事業の幹部に育って欲しいと期待されているそうです。

これは国内の深刻な介護人材不足という背景と、中国のように介護人材の育成を迫られている国との思惑が一致した取り組みといえると思います。

5 おわりに

昨年、私が企画者として携わらせて頂いたセミナーで、講師として外国人技能実習制度に係る団体の方をお呼びして講義をして頂きました。参加された方は、中小企業の方が多かったですが、非常に興味をもたれていたようで熱心にお話を聞かれていました。

私も講義を聞いたのですが、この制度は、受け入れる企業だけでなく、実習生及び送り出す国にもメリットがある制度であり、より制度を知って頂き積極的に利用可能であれば是非利用して頂いた方がよいという印象を持ちました。

政府の方針もあり、今後も中国や東南アジア各国からの受け入れが加速すると言われていますので、また機会がありましたら最新の情報をお伝えさせて頂ければと思います。最後までお付き合い頂きありがとうございました。

文責:弁護士 小林義和