2010年9月発行 vol.16 バックナンバー


もしも逮捕されてしまったら
もしも逮捕されてしまった場合の流れ,対応をまとめました。逮捕はされないように注意しましょう。
第1 取調べでの注意点
1 供述調書
警察官や検察官は,事件について被疑者(容疑者)から話を聞いて,供述調書を作成します。
供述調書は裁判で重要な証拠となりますので,身に覚えのない事件は決して認めてはいけません。自白の供述調書が作成されてしまうと取り返しのつかないことになってしまいます(冤罪事件の多くは強引な取調べで間違った供述調書が作成されたことが大きな原因となっています。)。
警察署や検察庁で取調べを受ける期間は長くとも23日間です。この期間,身に覚えのない事件に関しては,決して認めないという強い意志が必要です。
2 黙秘権
取調べに対し,逮捕された人はずっと黙ったままでいることができます。また,答えたい質問にだけ答え,答えたくない質問には答えないということもできます。これが黙秘権です。取調べで黙っていたとしても,これを理由に逮捕された人を不利益に扱うことは許されません。黙秘権は憲法上保障された権利なのです。
3 署名押印の拒否
供述調書ができると,最後に内容を読み聞かされて,署名押印を求められます。
しかし,供述調書に間違った内容や自分の話したこととニュアンスの違うことが書かれていたら,絶対に署名押印をしてはいけません。
供述調書は,逮捕された人の言い分を正確に記録するものではありません。取調べをした警察官や検察官が,逮捕された人が話したことをまとめて作文したものです。したがって,逮捕された人が話した内容と供述調書の内容に違いが生じているということも多いのです。
第2 弁護士の役割
1 このように,逮捕されてしまった場合,取調べにおいて注意すべき点がたくさんあります。しかし,「逮捕」や「取調べ」という異常事態に冷静に対処できるひとはそう多くありません。
そこで,逮捕されてしまったら,弁護士からアドバイスを受けたり,弁護士のなかから「弁護人」を依頼することが重要になります。
2 当番弁護士制度
逮捕されてしまった人やその家族・知人は弁護士会に弁護士の派遣を依頼できます(当番弁護士制度)。当番弁護士からは,今後の手続の説明や取調べでの注意点のアドバイスを受けることができます。また,当番弁護士と契約を結び,弁護人となってもらうこともできます。
3 国選弁護人制度
起訴される前でも,一定の重い罪の場合(被疑者国選弁護)や起訴された後,裁判となった場合(被告人国選弁護),弁護人を依頼する資力がなければ,逮捕された人の申し出により裁判所が弁護人を付けてくれます。
第3 まとめ
もし,万が一逮捕されてしまったときには,弁護士からアドバイスを受けたり,弁護人を選任することが大変重要です。身に覚えがない事件であれば,誤った自白調書の作成を防ぐ必要がありますし,仮に事件を起こしてしまったのであれば,弁護人が逮捕された人に代わって謝罪や示談,家族への連絡等を行うことができます。
逮捕されてしまったときは,一人で悩まず,弁護人を依頼することをお勧めします。
(弁護士 川﨑 翔)