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解決事例76: 従業員に対する事業の一部譲渡をした事例

業種

その他サービス業

お困りの問題

人事労務 事業譲渡・M&A,契約書

相談前

会社は支店を複数有していましたが,ある支店の支店長は,社長と方針があわずことあるごとに対立していました。その支店長の要求や主張がエスカレートしたため,このままだと会社経営上問題が出る状態になっていたことから,その支店をその支店長に譲渡して分離できないかどうかお悩みになられていました。また,譲渡した際に,従業員の引抜や商圏の問題等も心配されていました。

相談後

image076.jpgご相談では,まずご希望であった事業譲渡のご相談をさせて頂きました。事業譲渡においては,まず交渉段階に入る際に秘密保持契約をすることや,基本合意書を交わす際に,公認会計士等に事業の評価をして頂くことや,移転する財産等の範囲の問題や,債務の引き受けの問題,リースや賃貸借契約の地位の移転の問題等をお伝えさせて頂きました。その上で,競業避止の問題や秘密保持条項の説明をさせて頂くなかで,その支店長に支店を譲ると,やはり商圏が近いため強力なライバルになるおそれ等もわかってきました。 そのため,更に詳しい状況や社長のご希望を詳しくお伺いさせて頂き,打ち合わせを重ねました。その結果,支店長に事業の一部譲渡をすることはしないという方針で固まりました。そして,最終的には,その支店長には方針の違い等から自主的に退職頂くこととなり解決となりました。

担当弁護士からのコメント

  • ・ 事業譲渡の場合は,その価格をいくらと見積もるかという点がまず問題となります。事業の譲渡となりますので,契約の地位の移転がきちんと行われるかどうかといった点やその事業性・将来性等も適正に評価する必要があります。事業を譲り受ける方としては,高い金額を払い事業譲渡を受けた後に,客や従業員が一斉にやめてしまったり,許認可の問題が発生したりして,想定した利益があがらないといった事態が発生する危険性も十分ありますので,その点等も慎重に判断する必要があります。
    一方で,事業を譲渡する側としては,適正な価格で事業を譲渡することができたとしても,その事業譲受人がライバルになり商圏を脅かす可能性があることにも十分注意する必要があります。契約では,競業避止義務や秘密保持条項を定めることが一般的ですが,それも無制限で認められるわけではなく,ライバルとして競合してしまうという事態が生じるといった危険性も出てきます。
    そのため,特に参入障壁が高い業界の場合は,事業譲渡をしたがために,作らなくてもよい強力なライバルを作ってしまい,従業員等もそちらの会社に移り,自社の経営がうまくいかなくなるといった危険性も生じます。
    自由競争だから仕方がないという考え方もありますが,やはりそのような事態は未然に防ぐことができることなら防ぐに越したことはないかとも思います。その上で,そのような事態や危険が生じる状態になぜ陥ったのかを分析して,改善していくことが有益だと感じます。